サイゴン路地裏物語

ベトナム・ホーチミン市の路地裏に住む日本人が見た素顔のベトナム人。


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サイゴン路地裏物語



もしベトナムに軽減税率が導入されたら

ベトナムで「ありがたいな」と感じることの1つが、レストランで食べ残しを「持ち帰りたい」というと、気軽に応じてくれることだ。お店側では、持ち帰り用の容器を用意しており、そこに入れてくれる。このお陰で「残さないように」と無理して食べる必要はないし、食品ロスを出さずに済む。

先日、娘と一緒にドーナッツ店に入ったときのことだ。「5個注文すると1個が無料でおつけしますよ」という店員さんの勧めに従って6個購入。ところが2人で4つ食べたら、お腹がいっぱいになってしまった。こういう場合も、お店側は食べきれなかった2個をちゃんと箱に入れてくれる。

コーヒーでも同様。全部飲みきらないうちに店を出なければならないときは、店員さんに頼むと持ち帰り用の容器に入れてくれることが多い。

私が近所のスーパーに買い物に行ったときのことである。レジは混雑していて自分の番が来るまで15分程度、待たなければならなかった。私の前にいたのは親子連れで、小さな子供が「お母さん、お腹が空いたよお」とダダをこねている。すると母親は、買い物かごに入っていた生春巻きのパックを破り、そのうちの1本を子供に与えていた。精算前の商品を食べてしまうというのは、良くないことではあるが、ベトナムではちょくちょく見かける。

そもそも一部の大型スーパーには、レジの外ではなく内側、つまり売り場の中にイートインのコーナーを設けているところがある。そこに持ち込むには、もちろん精算を済ませておく必要があるが、イートインコーナーに出入り口が設けられているわけではない。未精算のものを持ち込んで食べていても、気が付かれないだろう。実際、レジで空っぽになったお菓子袋を見せながら、「これは精算前に食べてしまったので、今、お金を払います」と説明している人の姿を見かけることがある。

ベトナムでこういう状況を見るたびに、最近は「この国で軽減税率が導入されたらどうなるのだろう」と考えてしまう。大混乱になることは間違いない。

例えば料理を持ち帰った場合、店内で食べた分は消費税が10%になり、持ち帰り分は8%となるのだろうか。ドーナッツ屋の例だと、この店は前払い制なので、私は消費税10%を加えた額を支払っている。しかし、そのうち2個は持ち帰りにしたので、差額の2%分を返金してもらわねばならない。

近所のスーパーのケースはどうだろう。5本入りの生春巻きのうち、精算待ちの間に子供が食べてしまった1本は10%で、残りの4本は8%ということだろうか。スーパーの売り場内のイートインコーナーで食事をしている間に、喉が乾いてきて、持ち帰り用に買ってあったミルクを飲んでしまったとする。その場合は追加で2%の税金を払う必要があるだろう。

ベトナムはそもそも、銀行ですら少額のやり取りは四捨五入してしまう国である。2%は誤差の範囲内だ。軽減税率の導入など、決して考えないことだろう。

皆さんも御存知の通り、軽減税率は日本だけではなく、少なくない数の国が採用している。導入した政府の側は、運用が複雑になることは予測しつつ、「それでも我が国の優秀な事業者と消費者は、ちゃんと対応できる」という読みがあったのだろう。日本を含めそれらの国々はすごいなと感じる。

しかし、国民が優秀で複数税率を導入できる国と、国民が大雑把で単一税率を維持する国とを比べると、私としては後者のほうがありがたい。

ちなみにベトナムの消費税は基本的に一律10%である。

写真:ベトナムのスーパーの店内。

(本稿初出:2019年11月25日)

サイゴン路地裏物語



「聖職者」、ベトナムではいまだ健在


11月20日は、ベトナムでは「教師の日」である。この日になると、私は亡くなった義父のことを思い出す。彼は生前、大学をはじめいくつかの教育機関で英語を教えていた。私が妻の実家に居候を始める2年前、既に他界していたが、11月20日になると、義父の遺影に挨拶に来る教え子たちがいた。

教師の日を祝う主役はもちろん在学生たちだが、このように、教師の日にかつての恩師を訪ねる人は少なくない。

大手銀行に勤めるフィン・アンさんも、この日には有給休暇を申請して、かつての同級生と一緒に出身高校を訪ねる。そして在学中にお世話になった先生がたと近況を交換しあうのだ。卒業して10年になるが、彼女たちにとって毎年の恒例行事になっている。

ベトナムでは「どの高校で学んだか」が、日本よりも重視される。高校時代といえば多感な年代である。アンさんも「高校時代の先生からは、大学時代の指導教官よりも、大きな影響を受けました」という。高校時代の同級生が集まって食事をするときなどに、先生を招くこともある。

卒業後も自分が教わった先生と連絡を取り続けている人は多い。私も教師の日に、妻に同行して彼女の中学時代の担当の先生のお宅を訪問したことがある。結婚披露宴に小学校時代の担任の先生が出席することもあるそうだ。

ベトナムで教師は、日本以上に尊敬される存在で、ここでは「聖職者」という言葉が生きているような気がする。

ところが給料は非常に安い。生活のため、放課後に自宅で私塾を開く教師は少なくない。教師の日を口実に、児童・生徒の両親に金品を露骨に要求する悪徳教師もいるそうだ。教育は国の要である。その重責に見合った給料が支払われるようになって欲しいものだと思う。

教師の日には白いアオザイを身につけて登校する女子学生が多い。私が訪れたある学校では、色鮮やかなアオザイを着て、大きな花束を抱えた若い女性教師が、純白のアオザイ姿の少女たちに囲まれ、満面の笑みを浮かべながら記念撮影に応じていた。

先に登場したアンさんは、教師の日の直前の日曜日、昔の同級生と一緒に、高校時代に特に影響を受けた物理の先生を招いて昼食会を開いた。
「先生は高齢で、今はもう退職されていますが、私たちにとって、彼が先生であることに変わりはありませんから」

写真:ホーチミンシティの名門・レクイドン学校に飾られていた教師の日を祝う花。

(初出:読売新聞・国際版 2017年12月08日/改稿:2019年11月18日)

サイゴン路地裏物語



「私を雇ってくれませんか?」

ホーチミン市のタンソンニャット空港に着いた私は、少し身構えていた。今回の日本出張は荷物が重たく、超過料金を取られそうだったからだ。超過の対象になるかどうかは、係員の性格も関係していると私は考えている。1キロでもオーバーしているとダメを出す人もいれば、「次回は気をつけてくださいね」と見逃してくれる人もいる。

もちろん規則は規則なので、超過料金を請求されたからといってゴネるつもりはない。いかに超過料金なしで通過するかは、私にとっては一種のゲームのようなものなのだ。

チェックインカウンターを一瞥して、優しそうな雰囲気の係員を探した。私が選んだのは、左から2番目のカウンターにいるトゥイさんという女性だ。柔らかな目元が決め手だった。パスポートを差し出しながら「チャオエム!」と笑顔で挨拶をする。重量超過を大目に見てもらうためには、まずは相手に好印象を持ってもらうことから始まる。続いて「夜遅くまで、お仕事大変ですね」などと話しかけた。

「お客さん、ベトナムには何年? そう10年以上いらっしゃるのね」
彼女も話に乗ってきてくれた。よくある世間話を交わしている間にも、彼女は手を休めずに搭乗手続きをしている。秤の数字は、私の荷物が15キロオーバーであることを示していた。

彼女はその数字を見ながら質問をしてきた。
「お客さんの会社では、ベトナム人の社員は募集していますか?」
「そうだね」
「じゃあ、私を雇ってくれません?」
私は驚いた。両隣のカウンターにいるスタッフには丸聞こえだろう。しかしトゥイさんは気にする風もない。我々の会話が耳に入っているであろう同僚たちも平然としたものだ。

「ベトナム航空というと一流企業でしょう? それなのにどうして?」
「組織が大き過ぎて、仕事の手応えが今一つ感じられないんです。だからもう少し小さい企業のほうがいいんじゃないかなって」

既に搭乗手続きは終わっていたが、私の後ろに誰も並んでいないのをいいことに、彼女と少し話をした。最終的に、私がベトナムに帰国したら改めて会って話をすることにして、お互いの携帯電話番号を交換する。機内預けの荷物の重量超過はお咎めなしだった。それはそうだろう、私は「もしかしたら自分のボスになるかもしれない人物」なのだから。

到着した関西国際空港では、さらにちょっとした驚きが私を待っていた。手荷物受け取り所で自分のスーツケースが最初に出てきたのである。通常はビジネスクラスのお客さんの荷物が先に出て来て、その後でエコノミーという順番だ。

謎はすぐに解けた。私のスーツケースにはビジネスクラス用の「プライオリティ」(優先)と書かれたタグがつけられていたのである。トゥイさんの配慮に違いない。私は彼女の顔を思い浮かべながら「なかなかやるな」と苦笑していた。

自分の都合のために会社の規則をないがしろにするのは、ほめられたことではない。しかし、私はベトナム人のこういう押しの強いところが嫌いではない。これくらいの強引な自己主張があってもいいのではないかと思うのだ。

ともあれトゥイさんが気の利く女性であるのは間違いないようだ。私はベトナムに戻ったら、彼女に電話をしてみようという気になっていた。

写真:ベトジェットエアのチェックインカウンター。LCCなので重量超過に関してはベトナム航空以上に厳しい。

(本稿初出:2019年11月11日)

サイゴン路地裏物語



遊び心があるパスワード

「金曜日の夜はお暇ですか?」
私の目をのぞきこみながら尋ねてきたのは、あるカフェのスタッフの女の子だ。予想もしていなかった質問に一瞬言葉に詰まっていると、彼女がニッコリ笑ってこう言った。
「お客さん、Wi-Fiのパスワードがお知りになりたいんでしょ。パスワードは『are you free Friday night』です」

スタッフのほうは、思わせぶりにパスワードを告げて、客がどういう反応をするのか、楽しんでいるのだろう。印象に残るパスワードなので、この話をすると「ああ、あの店に行ったんですね」と分かるくらい有名だった。同じ店では「you are so hot!」がパスワードだった時期もある。残念ながら既に閉店してしまったが。

カフェに入って最初にやることが、Wi-Fiのパスワードを尋ねることだ。多くの店では「12345678」「88888888」といった数字の羅列や、その店の住所もしくは電話番号などを使っているから、分かりやすい。しかし、遊び心のあるパスワードを使っている店がある。私が知っているものを少し紹介しよう。

「khong co Wifi」というパスワード。意味は「Wi-Fiはありません」である。「そうか、Wi-Fiはないんだ」と諦めようとしたら、店員さんが「あ、それがWi-Fiのパスワードですから」と言い添えてくれた。

こういう「ビックリさせる系」のパスワードはいろんなバリエーションがある。例えば「em khong biet」=「知りません」。これに似たものでは「password la gi」。意味は「パスワードは何ですか?」だ。店員さんに「パスワードは何ですか?」と尋ねて「パスワードは何ですか?」と逆に質問されると、一瞬、戸惑う。「Wifi hu roi」=「Wi-Fiは壊れました」というパスワードにもいたずら心が感じられる。

「ムッとさせる系」のパスワードとしては「why don't you use 3g?」がある。これは「(Wi-Fiではなく)3Gを使ったらいかがですか?」の意味だから、スタッフの言い方によってはムッとするだろう。私の知り合いがあるところで、Wi-Fiのパスワードを尋ねたら「hoi lam gi」=「何のために聞くの?」で、これにもやはりイラッとしたそうだ。

「ほのぼの系」のパスワードもある。私がよく行くカフェの1つのパスワードは「thank you」だ。パスワードが「I love Vietnam」という店もあった。「I love you」というパスワードもある。店員と客が共に若い男女なら照れてしまうかもしれない。

歴史上の人物名をパスワードに設定しているカフェもあった。しかもほぼ毎日変わるのだ。カフェに行くたびに新しいパスワードを要求されるのは面倒なものだが、ここの店に関しては別。「今日は誰だろう」と楽しみで、知らない人物名がパスワードになっていると、「何をした人だろう」と調べるので、ベトナムの歴史の勉強になった。

ベトナム建国の父と言われるホーチミン氏もパスワードに登場している。ただそのままだと畏れ多いと思ったのか、「Ho Chi Minh」ではなく「Nguyen Ai Quoc」という彼が使った別名の1つだった。

これ以外にもユニークなパスワードはたくさんあるだろう。私はカフェでいろんなパスワードに出会うたびに、ベトナムの人たちの遊び心にふれるような気がする。Wi-Fiパスワードを尋ねて「Wi-Fiはありません」と回答されて「不真面目だ」などと怒り出す客は皆無なのだろう。こういう心の余裕を持っているのが、ベトナムのいいところの1つだと私は思う。

私がこれまで出会ったパスワードの中で、いちばん気に入っているのは次のものだ。「noichuyenvoinhauvuihon」である。単語の間にスペースを入れると「noi chuyen voi nhau vui hon」となり、「一緒におしゃべりすればもっと楽しくなる」みたいな意味だろうか。私はこれを入力しながら「パソコンに向かって仕事ばかりせずに、うちのカフェでは友だちと一緒におしゃべりを楽しんでくださいな」と言われたような気がした。

写真:Wi-Fiをオンにすると、この程度の数の接続ポイントが出てくることは珍しくない。鍵のマークがついているものはパスワードが必要。

(本稿初出:2019年11月04日)

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