サイゴン路地裏物語

ベトナム・ホーチミン市の路地裏に住む日本人が見た素顔のベトナム人。


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サイゴン路地裏物語



洪水時に見たベトナム庶民の強さ

朝起きると我が家は「陸の孤島」になっていた。

ホーチミンシティは、現在、雨季の真っ只中。前夜もかなり激しい雨が降り続いた。そのため我が家周辺の道路がすべて冠水してしまったのである。

幸い水は深くない。バイクを出して、娘をスクールバス乗り場まで連れて行き、帰りに冠水した路地裏の様子を撮影した。帰宅してパソコンで写真を開いた私は、「う〜ん」とうなってしまった。写っている人が、ほとんど全員笑顔なのである。そして思った。「これがベトナム人の強さだな」と。

写真を見ながら、私は2010年10月10日の大洪水を思い出した。ハノイ遷都1000年祭の当日で、ベトナムが祝賀ムードに包まれていた日のことである。夕食をレストランで済ませ、店の前まで出て驚いた。道路がすっかり川になっていたのだ。水は深いところで私の腰くらいまである。もちろんバイクは動かないので押して歩く。当時5歳だった娘は妻が抱きかかえた。

前がかすむほどの雨は弱まる気配も見せない。水の流れは激しく、時々、足元がふらつき、バイクが倒れそうになる。私たちの周囲は、そうして濁流と戦いながら、バイクを押して歩く人たちでいっぱいだった。

しかしその場に悲壮感はなかった。見知らぬ人同士が冗談を言い合っているのだ。通りの両側の家は軒並み床上浸水で、住人は水を避けて食卓の上などに避難している。彼らと目が合うと笑いながらVサインを返してくれた。この状況でどうして、冗談が言えるのだろう。笑っていられるのだろう。私は驚いた。

そもそもホーチミンシティでは洪水は日常茶飯事で、市当局が「洪水マップ」というアプリを提供しているほどだ。中でも私が住んでいるところは、冠水が多発することで有名なエリアの1つ。以前は年に何度も床上浸水に見舞われた。

道路が川に変わると、子どもたちが出て来て「ベニスだ、ベニスだ」と言いながら、水遊びに興じる。大人たちは、濁流と化した路地を眺めながら、のんびりビールを飲んでいる。そういう中でも笑顔を絶やさない路地裏の庶民たちは、本当に強い。

物質的に恵まれていても不平・不満を言いながら暮らしていると不幸だ。「幸せは心の持ち方次第」ということを、私はベトナム人から教わった気がする。

(初出:読売新聞・国際版 2017年10月20日/改稿:2019年7月15日)
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