サイゴン路地裏物語

ベトナム・ホーチミン市の路地裏に住む日本人が見た素顔のベトナム人。


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サイゴン路地裏物語

大雨と人情



大雨と人情

きょう、昼食を終えてカフェを出ようとした、まさにその時、バケツを引っくり返したような大雨が降り出してしまった。店の前の道路は、あっと言う間に冠水してしまい、そこだけ見るとまるで小さな川のようだ。

とは言え、ホーチミンのスコールは、だいたい1時間もあればやんでしまう。私は「もう少しここに居座るか」とパソコンを取り出して仕事を始めた。会社勤めの人たちは、そうはいかないのだろう。大雨にもかかわらず、お客さんは次々と席を立って行く。

店の駐輪場係のおじさんの動きが私の目に止まった。彼はお店の入り口にやってきて、お客さん一人一人に「あなたのバイクはどれ?バイクの鍵を貸して」と尋ねている。そしてそれぞれのバイクのところに行き、鍵を使ってシートを開け、その下に収納してある雨具を持って来て、一人一人に手渡していたのだ。

これくらいの大雨だと、バイクのところまで行って、雨具を取り出し、それを着るまでの数分間にずぶ濡れになってしまうだろう。一方で、店内で雨具を着てから外に出れば、濡れ方はずいぶん少なくなるはずだ。私は駐輪場係のおじさんの心遣いに感心した。

きょうのように店の中にいるときに雨が降り出すとまだ対応しやすいが、困るのはバイクでの移動中だ。そんな時、私はたいてい手近なカフェに避難する。バイクにはいつも雨具を積んでいるが、それで防げる程度の雨ではないからだ。カバンの中にはパソコンやカメラ、それから紙の資料などが入っており、ぬらすわけにはいかない。

ある時、「あ、降り出したな」と慌てて最寄りのカフェに入ったときには、既に服や頭はかなりぬれてしまっていた。すると、入り口のところに待機していた店員さんが、すかさず用意した紙ナプキンを手渡してくれたのである。これは別に珍しいことではない。小さなハンドタオルを出してくれる店もある。

カフェを出た途端に大雨が降り出し、慌てて店に引き返したことがある。入口付近で立ったまま、雨が小ぶりになるのを待っていたら、店員さんが「この雨、まだしばらく続きそうですから、どうぞ」と椅子を勧めてくれた。こういうときに「改めて何か注文してください」なんて無粋なことをいう店員さんには、会ったことがない。

ハノイ出張時にバイクで移動中に雨に降られたときのことだ。借り物のバイクなので雨具は積んでいない。しかし雨が降り出すと、道端の屋台がどこからか雨具を取り出して売り始めるので便利だ。

私も、そんな屋台の1つで使い捨ての雨具を購入した。売り子の若い娘さんは、私がぬれないように傘を差し掛けてくれた上、「背中のバックパックもぬれないように、雨具の中に入れましょう」と、着るのを手伝ってくれたのである。ささいなことだがうれしかった。

雨は誰の上にも平等に降るから、カフェの店員も屋台の娘さんも、雨に降られて困っている人の気持ちが分かる。だからこうして親切になれるのだろう。雨期のホーチミン。毎日のように雨に降られるのは大変だが、そこで出会う人々の優しさが、雨のつらさを大いに緩和してくれる。

【写真キャプション】
主な移動手段がバイクである当地で雨具は欠かせない。

(初出:時事速報ベトナム版2019年07月19日/改稿:2020年10月19日)
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