サイゴン路地裏物語

ベトナム・ホーチミン市の路地裏に住む日本人が見た素顔のベトナム人。


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サイゴン路地裏物語



若い才能が花開く国に

ハノイを本拠地として活動するベトナム国立交響楽団(VNSO)は、毎年夏に「トヨタコンサート」という名前の演奏旅行に出る。今年(*2017年)はハノイ、ホーチミン、そして北部の地方都市・ヴィンフックで計4回の演奏会を開いた。

指揮者は2001年から同楽団の指導をしている本名徹次氏だ。ハノイとホーチミンで取り上げたのはブラームスの交響曲第3番と、ショパンのピアノ協奏曲第2番。

ショパンで独奏をつとめたのはグエン・ベト・チュン(Nguyen Viet Trung)という、弱冠20歳のベトナム人ピアニストである。オーケストラもさることながら、チュン氏の演奏が「素晴らしい」と、当地の音楽ファンの間で話題になった。私自身も、その演奏に魅了され、ハノイでの本番前に話を聞かせてもらった。

舞台上の姿を見ても「若いなあ」と感じたが、面と向かうと、まだ「少年」といったほうがピッタリくる。現在、ショパンの出身地であるポーランドのワルシャワで音楽を勉強中だという。

いちばん好きな作曲家はショパンで、中でも「24の前奏曲集」がお気に入りだそうだ。平均して1日6時間は練習するという生活は「子供の頃は嫌だったこともあるけれど、今は楽しい」という。

好きなピアニストをたずねると、世界的に有名なベトナム人ピアニストであるダン・タイ・ソン氏の名前がいちばんに出てきた。ソン氏は、1980年のショパン国際ピアノコンクールで、アジア人として初めて優勝し、世界を舞台に活躍している。チュン氏は、そんなソン氏に続くホープの一人と目されているそうだ。

そもそもベトナム人は大の音楽好きである。しかし職業音楽家を巡る環境は厳しい。ベトナム国立交響楽団の団員は国家公務員だが、給与は低く「団員のほとんどは副業を持っているだろう」(本名氏)という。

彼らは、個人的に楽器の演奏を教えたり、ホテルやカフェで演奏をしたりして、収入の足しにしているそうだ。

楽団のズン事務局長は「国からの予算は削減傾向にある。これでは音楽院を卒業した優秀なベトナム人は、生活の安定を求めて国外に出てしまう」と危機感を隠せない。良い楽器や自家用車を持っている人もいるが、それは一部だ。

ベトナムは都市部とそれ以外の格差が非常に大きい。農村部に行くと、電気や水道すら来ていないところもある。そういった状況を考えると、物的な社会基盤の整備が優先されるのは、やむを得ないだろう。

しかし文化面の環境整備にもお金が流れるようになって、ベトナムが、物質面だけでなく心の豊かさもあふれる国になって欲しい。そしてチュン氏のように才能を開花させる若いベトナム人が、続々と出てくることを願っている。

注)写真はリハーサル中のチュン氏。後ろは指揮者の本名氏。

(初出:読売新聞・国際版 2017年9月8日。肩書などは取材した2017年8月当時のものです/改稿:2019年2月11日)
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