サイゴン路地裏物語

ベトナム・ホーチミン市の路地裏に住む日本人が見た素顔のベトナム人。


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サイゴン路地裏物語



優しさの先進国

すっかり涙腺が緩くなってしまった。新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、ベトナムで「社会的な距離」が実施されて以降、目頭が熱くなるような美談をたくさん見聞きしてきたからだう。そんな出来事を、ごく一部だが紹介したい。

営業が禁止された後、いくつかのレストランは貧しい人たちに弁当を作り、店先で配り始めた。夜の街をバイクで回り、路上で暮らす人々に弁当を手渡した店もあったという。飲食店だけではない、なけなしの小遣いでバゲットなどを買い、貧しい家庭に配った若者グループもいる。

ベトナム人社員らが給料の半額を使ってインスタントラーメンなどの食料品を買い、新型コロナの流行で職を失った人に届けた会社もあったそうだ。飲食店を営む日本人の社長に、ベトナム人の社員が「営業できなくて大変でしょうから、給料を返上します」と申し出たという話も聞いた。

ベトナムに住む日本人の知り合いとインターネットで情報交換していると、こういった話が次々出てくる。「ベトナム人を見直した」「これまで以上にベトナムが好きになった」との声も聞く。

「社会的な弱者が、自分以上に困っている人に手を差し伸べる」というのが、ベトナムの良いところの1つだと以前から感じる機会はあった。ホーチミン市を訪れた人は、道端に冷たいお茶の入った容器が置かれているのを見掛けるだろう。カフェなどで乾きを癒やすことができない貧しい人のために、近くに住む人が用意したもので、誰でも無料でのどを潤すことができる。「庶民がより貧しい庶民を助ける」。こういう事例を目にするのは、珍しいことではない。

今回のような状況になると、ベトナム人でも他人のことを思う余裕がなくなって当然だろう。新型コロナ騒動の初めの頃、そんなふうに危惧したが、良い意味で裏切られた。

ベトナムに長く住む友人は、「自分が苦しいときにこそ『自分よりもっと困っている人がいる』と考え、手を差し伸べるのがベトナム人だ」と話していた。今回の非常時にあって、そういう場面をたびたび目にした。ベトナムの政府機関や民間企業が日本に医療用マスクを寄贈しているのも、その一つだろう。ある日本人の在住者がベトナムを「優しさの先進国」と形容していたが、私も同じように感じる。

うれしかったのは、「これを機にベトナムに恩返ししよう」というベトナム在住の日本人が出てきたことだ。ホーチミン市の日本人グループは、恵まれない人に食料品を配る活動を展開している。菓子を製造する会社を営む日本人の社長は、4000個近い自社の商品を寄贈したそうだ。

もちろんいい話ばかりではない。利己的な行動に走ったベトナム人もおり、最近では犯罪も増えているそうだ。新型コロナで景気が悪くなったことが影響しているのだろう。

これを書いている2020年5月現在、幸いなことに、ベトナムでは新型コロナの流行がほぼ静まり、人々の生活は急速に平常に戻りつつある。今後のことは分からないが、危機を乗り越えたことで、ベトナムは大きな自信を得たに違いない。感染拡大を再発させないことが理想だが、第2、第3波がきたとしても、ベトナムは優しい心でうまく乗り切るような気がしている。

【写真キャプション】
道路脇に置かれたバゲットと冷たいお茶の入った容器。もちろんどちらも無料だ。なくなると近所の人が補充している。

(初出:時事速報ベトナム版2020年5月29日/改稿:2020年12月21日)
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