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サイゴン路地裏物語 2019/01/07 台風で床上浸水。それでも笑顔 台風で床上浸水。それでも笑顔 私が帰宅すると自宅は真っ暗で、家の中はまるで小さなプールのように水がたまっていた。台風9号(日本では台風29号)がベトナム南部に上陸した2018年11月25日日曜日の夜のことである。 昼過ぎから始まった横殴りの雨と強風の中、私は外出していた。1区から帰路についたときは、既に道路という道路は冠水して、まるで川のようになっている。 自宅のある路地に入ると、そこは漆黒の闇に包まれていた。停電である。玄関を開けて携帯電話のライトで家の中を照らすと、家の中にも水は入ってきている。床に置いていたサンダルが、家の中にプカプカ浮いているのが見えた。 水の深さは15センチから20センチくらいあるだろうか。家の中への水の流入は続いているが、止める手立てがない。ロウソクの灯りで夕食をとると、私は2階の寝室に上がり、さっさと寝ることにした。 一夜明けて26日の朝。空はまだ曇っていたが雨は止んでいた。道路から水は引き、電気も戻っている。さっそく水のかき出しを始めた。道具はチリトリ。 周囲を見ると近所の家々でも、水をかぶってしまった家具類を道路に出して干したり、雑巾とバケツで家の中にたまった水を汲み出したりと、そこかしこで同じようなことをしている。 作業をしている者同士、目が合うと笑顔で「昨日の雨はすごかったねえ」などと声をかけあう。私の家の前を通りかかった若い女性は、目が合うと「頑張ってくださいね」というように、ニッコリ笑いかけてくれた。いつもの路地裏の明るい雰囲気に、救われるような気分になる。 結婚前、私が妻の家に遊びに来たとき、やはり豪雨で床上浸水になったことがある。 当時、まだ健在だった義理の父に、 「こういうことが頻繁に起きている状況に対し、政府はどういう対応をしているのですか?」 と尋ねた。 洪水が発生するのは、雨量のせいもあるが、排水設備の不備も大きな原因だからだ。それを整備するのは行政の責任だろう。 義父はこう答えた。 「政府は何もしてくれないからね。我々庶民も期待はしていない」 「社会インフラの整備は政府の仕事じゃないんですか。特に共産主義の国では、資本主義の国よりしっかりしているべきだと思うのですが」 私がこう疑問を呈すると、彼はこう続けた。 「政治体制に関係なく、自分たちの生活は自分たちで守る。これが基本じゃないかね」 義父は、 「この地域の下水設備は、南北統一以前の古いものに依存をしていて、その後の人口増加に対応できていなかった。だから近隣の住人がお金を出し合って業者を雇い、改良工事をしてもらったんだよ」 という話も教えてくれた。 例えば日本で、今回のような洪水が発生したら、住民は行政に排水設備の改善を要求するだろう。経済的損失を被った場合は、補償を要求するかもしれない。日本の行政のサービスレベルは、ベトナムに比べて遥かに高い。それ故に「自分たちの生活は行政が守ってくれる」という意識が強くなるのではないか。 一方のベトナム人は、「自分たちの生活は自分たちで守る」という気概を、日本人よりは強く持っているように感じる。それは、非力な行政に対する諦めの気持ちから来るものかもしれないが。 ベトナム人が、洪水の後始末をしながら笑っていられるのは、彼らが生来持っている楽天主義もあるだろうし、天災に慣れていて鈍感になっているだけかもしれない。しかし、他者をアテにしないことから来る精神的なタフさも、その理由の1つではないだろうか。 (初出:ベトナミストクラブ会報『モンナム』2018年12月号/改稿:2018年12月7日) コメント(0)