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サイゴン路地裏物語 2021/09/20 返って来た500ドル 返って来た500ドル 「500ドル、貸していただけないでしょうか」。友人のベトナム人女性トゥーさんからこう切り出され、近藤さんは一瞬言葉に詰まった。 近藤さんがダナンに出張したとき、たまたま飛行機で隣同士になったのがトゥーさんと知り合ったきっかけだ。年が20歳以上も離れている上、近藤さんには奥さんと子供がおり、トゥーさんにも婚約者がいる。恋愛感情が入り込む余地はないが、何となく気が合い、時折カフェでおしゃべりする関係が続いている。 そんなある日、「ちょっと頼みごとがある」と彼女に誘われ、カフェに出向いた。そこで出てきたのが、お金の相談だった。 トゥーさんは、「親友のお母さんが難病を患っています。手術すれば治る可能性が大きいそうですが、彼女にはそれだけのお金がなく、『お金を貸してくれないか』と私に頼みに来たのです」と説明した。 大学を卒業して間もないトゥーさんの給料は200ドル少々。ビンズオン省の親元を離れて、ホーチミン市で一人暮らしする彼女にとって生活するだけで精一杯だ。そこで思い浮かんだのが近藤さんへのお願いだったらしい。 近藤さんにとって、もちろん出せない金額ではない。しかし「親が病気」というのは、お金を借りるときによく使われる口実の一つ。 「返って来ない可能性が大きいだろうな」。そう思ったが、数日後、近藤さんは白い封筒に入れた500ドルをトゥーさんに手渡した。「何となく賭けてみる気になった」のだという。 その後、数カ月、トゥーさんから連絡はなかった。「やはりだまされたのかな」と近藤さんが思い始めたころ、彼女から電話が入った。 「友達のお母さんは無事に手術を受けられ、日常生活に戻ることができたのです」。そう告げる彼女の声は弾んでいた。 「私の友達は、近藤さんに会って直接お礼を言ってお金を返したいと言っています。あなたの連絡先を教えてもいいでしょうか」。彼女からこう言われ、連絡先を伝えたが、友達からは何の音沙汰もなかった。 さらに約3カ月がすぎたころ、トゥーさんから「近々、時間を取ってもらえませんか」と電話があった。友達から連絡がないことを話すべきか悩みながら、近藤さんは約束のカフェに出向いた。 「ごめんなさい」。約束の10分前にお店に着くとトゥーさんは既に来ていて、近藤さんの姿を見るなり、席から立ち上がって深々と頭を下げた。 「彼女がとっくにお金を返したと思っていのですが、先日会った時に『近藤さんにはまだ連絡していない』と言うのです。腹が立つと同時に、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまいました」。普段はおっとりした話し方のトゥーさんが早口になり、語気も強くなっていた。 近藤さんは、「500ドルと言えば大金だし、返す気があっても、実際には大変ではないのかな」と相手のことをおもんぱかった。 トゥーさんは「それでも、一言、お礼は言うべきです」と言いながら、封筒を差し出した。「もう彼女のことを信用できないので、私がお金を返すことにします。ベトナム・ドンですけれど、500ドル分入っています。受け取ってください」と。 これは15年ほど前の話だ。その後も近藤さんとトゥーさんの不思議な友情は続く。トゥーさんの結婚式には、近藤さんも一家で招かれ、今や家族ぐるみの付き合いになった。 近藤さんは受け取ったお金を使わずに置いてある。「彼女の2人の娘が成人したときに、お祝いを贈るためです。その時に、このお金の由来も2人には話そうと思っている」と明かしてくれた。 【写真キャプション】 銀行の前に置かれた預金金利の看板。融資返済の利子も高いため、お金を借りるときは家族や友人を頼ることが多い。 (初出:時事速報ベトナム版2021年03月15日/改稿:2021年09月20日) コメント(0)