サイゴン路地裏物語

ベトナム・ホーチミン市の路地裏に住む日本人が見た素顔のベトナム人。


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サイゴン路地裏物語



1つの路地は大きな「家」のようなもの

「いってらっしゃい!」
バイクで通りかかった私を見て、笑顔で手を振ってくれたのは、近所で路上カフェを営むフーンおばさんだ。自宅のある路地裏から表通りに出るまでの間、こうして近所の住人に見送られて、毎朝出勤する。

私の妻はベトナム人。ホーチミン市(旧名:サイゴン)の下町にある彼女の実家に、2002年から居候している。中心部まではバイクで15分ほどの距離だ。

ここの住人にとって、路地は家の延長だと言っていい。自宅の前の道に低い机と椅子を出して、夕食をとる家族がいる。暇なオヤジたちが、ビール片手にベトナム将棋に興じるのも路上だ。若い女性も、路地の中ではスッピンに部屋着のままで出歩いている。バイクに乗る人も、路地の中の移動だけであれば、ヘルメットはかぶらない。

路地裏の住人たちの人間関係も、まるで1つの大きな家族のようだ。

私が妻の家に住み始めた当初、家の鍵を持っていなかった。
「あなたが帰宅した時、誰もいなかったら、向かいで薬局を営んでいるホア姉さんのところに行って。彼女に鍵を預けておくから」。
そう妻に説明された。

来客が多くて机や椅子が足りなくなると、近所の人が貸してくれる。頂きものがあれば、おすそ分けをする。日常生活の中でのこういう助け合いが、ごく自然に成立しているのだ。

娘が小さいときには、これに大いに助けられた。我々夫婦が揃って外出しなければならないときは、近所に住む世話好きのお姉さんが預かってくれた。逆に、私が帰宅したら、乳幼児が4〜5人いて、まるで託児所のような状態になっていたこともある。

そんな調子だからプライバシーはないに等しい。常夏のホーチミンでは年中、窓は開けっ放し。お互いに家の中のできごとは筒抜けだ。

夫婦喧嘩をした翌朝、家を出ると、近所のおばさんから、「あなた、奥さんにはちゃんと謝ったの?」と尋ねられてしまう。

ベトナムには「王様の掟も村の垣根を越えない」ということわざがある。それくらい自治意識が強い。今は、垣根こそなくなったが、路地の中は一つの独立した共同体ができている。

日本から来た私にとって、最初、こういう路地裏生活は、軽い戸惑いがあった。しかし慣れてしまうと、実に居心地がいい。

ベトナムの社会的インフラは貧弱だ。しかし人というインフラがそれを補っている場面が多々ある。路地裏の生活は、まさにその象徴だと私は感じている。

(初出:読売新聞・国際版 2017年4月14日/改稿:2018年11月19日)
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